- 類似商号の規制廃止
現行法では、会社を設立しようとする市区町村内に類似した商号(会社名)で、かつ、事業目的が一緒の会社があるとその商号は使えないことになっています。しかし、今日の社会は交通機関も発達し、全国規模で商取引が行われています。これを考えると、類似商号の規制自体が現代社会にそぐわないものになっているといえます。そのような観点から改正法では類似商号の規制自体が廃止されることになりました。従って、新会社法の下で会社を設立する場合は類似商号調査は必要なくなります。ただしどんな商号でも良くなるというわけではありません。商標権で保護されている商号もありますし、法令で制限されている名称等もありますので注意が必要です。
- 公告の方法
現行法で公告する方法は定款の絶対的記載事項です。登記簿などを見ると「官報に掲載して行う」などと書いてあると思います。新会社法ですとこれが任意的記載事項になります。記載がない場合の公告の方法は「官報」になります。
- 現物出資
現物出資とは、会社設立時や増資のときに金銭以外の財産を出資することをいいます。現行法ですと、資本の5分の1かつ500万円を超える現物出資の場合は検査役の調査が必要になります。ですから、資本金1000万円の株式会社を設立する場合は、検査役の調査を回避しようとすると200万円までしか現物出資できませんでした。新会社法では、「資本の5分の1」という制限が撤廃されますので、先ほどの例ですと500万円まで現物出資が可能になります。従って個人事業などをしている方は、資本金をある程度高くした法人成りを容易にできるようになります。(法人成りとは個人事業主が実態はそのままで会社組織に変更することをいいます。)
- 出資払込保管証明書
現行法で会社を設立する場合(資本金特例を除く)、銀行や信金といった金融機関に資本金にあたるお金を一度払い込んで保管をしてもらい、金融機関から発行される出資払込金保管証明書という書類がないと登記できません。この払込みという作業が実は思いのほか大変で、金融機関との取引がないと証明書を発行してもらえなかったりと、会社設立の一番の難関とも言われていました。新会社法では、この証明書は不要になり、単に金融機関の残高証明があれば差し支えないということになります。従って、今までのように金融機関をはしごして払込みをお願いに行くということもなくなりそうです。なお、現行法のもとでも資本金の特例会社(確認会社、一円会社とも言われます)は、出資払込金保管証明書は不要です。
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