- 自由な機関設計
前項でもご説明したとおり、有限会社と株式譲渡制限のある株式会社が「株式譲渡制限会社」に統合される関係で、一部有限会社の制度を取り入れた株式会社が登場します。したがって個々の事情に応じて、取締役のみの会社、取締役と監査役の会社のように、今までとは違ってある程度自由な機関設計が可能になります。ただし、株式会社である以上、株主総会は必ず設置しなければなりません。
- 取締役の資格
現行法では、取締役の資格を株主に限ることはできません。しかし改正後は、株式譲渡制限会社であれば株主に限る旨の定款も有効になります。また、現行法では破産者で復権を得ていない方は取締役になることができませんでしたが、改正後はこの規定はなくなります。
- 取締役の任期
現行法では、取締役の任期は2年ですので、2年ごとに役員の登記をしなければなりません。改正後は株式譲渡制限を設ければ任期を10年に延長することが可能です。これによって煩雑な手続きも軽減されることになります。
- 取締役の責任
現行法では、取締役会において、ある決議に賛成した取締役については、当該行為をしたものとみなされ責任を追及されることもあります。新会社法においては「過失責任の原則」が原則として採用され、原則として任務懈怠がなければ会社に対して責任を負わなくとも良いということになります。
- 取締役の解任
現行法では、取締役を解任するために株主総会の特別決議が必要ですが、改正後は普通決議で解任できるようになります。したがって今までよりも取締役の解任は容易になります。
- 会計参与
株式会社は定款をもって会計参与を定めることができるようになります。会計参与とは、取締役・執行役と共同して、計算書類を作成することを職務とする人です。会計参与は公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人でなければなりません。
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